新潟大、糖尿病の発症に関わる新たな分子を発見

科学技術振興機構(JST)課題達成型基礎研究の一環として、新潟大学教授の南野徹氏らは、糖尿病の発症に関わる新たな分子を同定し、その鍵分子機能の阻害が新たな糖尿病の治療標的となることを明らかにした。

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南野氏らは、過食・肥満に伴い、マウスの内臓脂肪においてセマフォリン3Eというたんぱく質が多量に分泌され、炎症を引き起こしていることを発見した。セマフォリン3Eの産生は、脂肪細胞の老化を促進すると増加し、逆に抑制すると減少した。

肥満や脂肪細胞の老化による糖代謝の異常は、セマフォリン3Eを阻害することによって改善した。さらに、2型糖尿病患者の血中セマフォリン3Eが増加していたことから、ヒトの糖尿病においてもセマフォリン3Eによる脂肪組織の炎症がその病態に関与している可能性がある。

この研究成果は、セマフォリン阻害という2型糖尿病に対する新たな治療戦略の開発につながるばかりでなく、加齢に伴う疾患の発症機構を知る上で重要な知見となりうるものと考えられる。

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