名大、在来植物が外来種に追いやられるメカニズムを発見

名古屋大学博物館准教授の西田佐知子氏と大学院理学研究科助教の金岡雅浩氏のグループは、在来の植物が外来種に追いやられるメカニズムをタンポポで明らかにした。

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従来生育していた植物(在来植物)が他所からやってきた植物(外来植物)に追いやられるという現象は、従来の生物多様性を変える深刻な問題として注目を集めている。

西田氏らは、セイヨウタンポポやその雑種によって追いやられている近畿地方の在来タンポポ(カンサイタンポポ)と、追いやられていない東海地方の在来タンポポ(トウカイタンポポ)に各種の花粉を人工授粉し、在来タンポポの“めしべ”がどのような反応を示すかを比較した。

その結果、追いやられているタンポポのめしべはセイヨウタンポポの花粉をまちがって受け入れてしまうのに対し、追いやられていないタンポポのめしべはセイヨウタンポポの花粉を途中で拒絶することを発見した。セイヨウタンポポの花粉をまちがって受け入れためしべは、そのあと種子を作るのに失敗し、子孫の数を減らす。そうすると次世代の個体はますます周りをセイヨウタンポポらに囲まれ、その場から急速に追いやられてしまう。

在来植物が近縁の外来種に置き換わるメカニズムを至近要因から個体群動態まで明らかにしたのは、世界でも初めてのケース。この発見により、在来植物が近縁の外来種に追いやられる現象に繁殖干渉が大きく関わっている可能性が確認された。この発見は今後、外来種による被害を受けやすい在来種の予測や、外来種からの繁殖干渉を防ぐ対策につながり、生物多様性の保全に大きく役立つことが期待される。

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