静岡県大ほか、食品たん白質や医薬品が吸収される仕組みを世界で初めて解明

静岡県立大学食品栄養科学部助教の伊藤圭祐氏、准教授の河原崎泰昌氏、名古屋大学創薬科学研究科准教授の加藤竜司氏、不二製油株式会社の研究グループは、食品たん白質や医薬品の吸収を担うペプチド輸送体について、様々な物質を輸送する“基質多選択性”の全体像を世界で初めて解明した。

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従来法よりもはるかに迅速・簡便にPOTの機能を解析できる方法(F-CUp 法)を開発し、様々なペプチドや医薬品の生体吸収性を網羅的に解析した。その結果、大豆たん白質等に多く含まれる芳香族・分岐鎖アミノ酸(ヒト必須アミノ酸)を含むペプチドが POTを介して特に高効率に吸収されること、さらに POT の“基質多選択性”は生物種を越えて保存されていることが明らかとなった。また、得られた解析データと各物質が有する物理化学的指標を照らし合わせることで、コンピューター上でペプチドや医薬品の生体吸収性を予測することにも成功した。

この研究で解明された POT の“基質多選択性”は生体にとって高価値なアミノ酸をペプチド形態として高効率に取り込む仕組みであり、生物学的に大変理にかなっている。POT の“基質多選択性”の全体像は、食品の消化吸収に関する重要な基礎的知見でもあり、生体吸収性に優れた経腸栄養剤、スポーツ用途食品、発酵培養基材、また医薬品等の開発に多大な貢献が見込まれる。

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