慶大、胃がんの転移にセンチネルリンパ節生検が有用なことを証明

慶應義塾大学医学部外科学教室(一般・消化器外科)教授の北川雄光氏らの研究グループは、胃がんに対するセンチネルリンパ節生検の有用性に関する臨床試験を行ない、有用性が高いことを明らかにした。

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センチネルリンパ節(見張りリンパ節)とは、固形がんから直接リンパ流を受けるリンパ節のことで、リンパ節転移が最初に起こる場所と考えられている。そのため、もしこのセンチネルリンパ節を正確に見つけ出すことができれば、センチネルリンパ節にがんの転移がない症例では、広範な臓器切除やリンパ節郭清を省略することが可能と考えられている。

これまで乳がんではセンチネルリンパ節生検が保険適応となり、腋窩リンパ節郭清の省略によって術後の腕のむくみや神経障害を予防できるようになったが、胃がんにおいてはセンチネルリンパ節生検が可能かどうかこれまで明らかではなかった。

研究グループは国内12 施設で多施設共同臨床試験を行ない、比較的早期の胃がんであれば99%の正確性でセンチネルリンパ節を用いてがん転移の有無を判定できることが明らかになった。この結果、特に早期胃がんでセンチネルリンパ節に転移のない症例については胃切除やリンパ節郭清の縮小や省略が可能になり、患者の生活の質を高める効果が期待される。

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