NEDO、タイで再生・細胞医療の実証試験を開始

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がタイ商務省と共同で進めている再生・細胞医療プロジェクトにおいて、川崎重工業が開発した細胞自動培養システムの実験設備をチュラロンコン大学医学部研究棟内に設置完了、実証運転を開始する。

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このプロジェクトは、NEDOとタイ商務省貿易交渉局との間で2012年11月に締結した基本協定書(MOU)に基づき、日本側(武庫川女子大学、川崎重工業、大阪大学、ディーエスピーリサーチ)とタイ側(チュラロンコン大学、シーナカリンウィロート大学、マヒドン大学、アースクラップクリニック社)との間で協力して実施しているもの。

再生・細胞医療の臨床応用では、移植する細胞の製造(培養)及び品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice;GMP)を満たすヒト移植用の細胞培養施設(Cell Processing Center;CPC)において、細胞を培養することが従来は必要だった。しかし、CPCの建設・維持には多額の費用がかかる上、手作業による細胞培養には高度に熟練した技術者が必要であり、これらが再生・細胞医療の普及における大きな障害となってきた。

このシステムは、CPCや高度に熟練した技術者がいない医療機関でも、再生・細胞医療の臨床応用ができるようになる。そのための最初のステップとして、チュラロンコン大学に設置したR-CPXを用いて、関節軟骨の再生を対象に、臨床応用可能なレベルの高品質な細胞を効率良く調製できることを確認する。

さらにこのシステムはタイの動作環境やインフラに合わせて設計されており、今後、タイ国内での再生・細胞医療の研究が本格化する。本プロジェクトでは、実証試験の完了後、再生・細胞医療の薬事承認を取得するとともに、タイにおける臨床実績の蓄積を目指す。

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