東北大,超低損傷中性粒子ビーム加工プロセス技術により欠陥のないエッジ構造をもつグラフェンナノリボンの作製に成功

東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)および流体科学研究所(IFS)授教の寒川誠二氏の研究グループは,寒川氏が独自に提案した中性粒子ビーム加工技術を用いてグラフェンシートに損傷を与えず,無欠陥エッジ構造を持つグラフェンナノリボンを作製し,世界で初めて104以上の高いOn/OFF比をもつ電気特性を実現した。

 

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シリコンに代わる次世代トランジスタ材料として注目されるグラフェンだが,シートのままではデジタル用途として応用できないため,細線(リボン)化し,切り口をアームチェアと呼ばれる形に切り出す必要がある。このグラフェンナノリボンの加工において,従来のプラズマ等を用いた方法では,荷電粒子や紫外線によりグラフェンシートから切り出したエッジ部分に欠陥が発生し,理論通りのバンドギャップの制御が難しく,電気的・光学的特性を大幅に劣化させていた。

そこで研究グループは電子線描画露光装置と中性粒子ビームエッチング加工によるグラフェンナノリボンの作製を試み,従来にない104以上というOn/Off比を持つ電気特性が実現できるグラフェンナノリボンの作製に初めて成功した。この成果によりグラフェンナノリボントランジスタの実用的な製造プロセスが見通せるようになり,2019年以降の超高速デバイスの開発に大きく道を拓くもの。

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