島津製作所,細菌を株レベルで迅速に識別するソフトウェアを開発

島津製作所は,愛知県の産学官連携の共同研究プロジェクトである「知の拠点あいち」重点研究プロジェクトの「食の安心・安全技術開発プロジェクト」における成果として,名城大学農学部教授の田村廣人氏と共同で,「AXIMA微生物同定システム対応高精度細菌識別ソフトウェアStrain Solution」を開発した。このソフトウェアは,食品等から分離された細菌を株レベルという高精度で迅速に識別するための製品で9月3日に発売する。価格は120万円(税別)。

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同社のマトリックス支援レーザ脱離イオン化法質量分析計「MALDI-TOFMS」を用いて,食品等に混入した微生物を迅速かつ高精度に亜種・株レベルで識別することができる。食品工場等の衛生管理においては,汚染源を特定することが重要であり,そのためには株レベルでより精密な解析をする必要がある。

亜種・株レベルでの識別は,サンプルからDNAを抽出し,塩基配列を解析するなど複雑な方法が主流だが,遺伝子の取り扱いに精通していることが必要となるだけでなく,時間や手間と識別の確実性の両立が難しいといった点で課題があった。

開発したソフトウェアは,「MALDI-TOFMS」を用いてサンプル調製から測定,データベース検索による同定までがわずか3ステップで行える「AXIMA微生物同定システム」と組み合わせ,細菌を亜種・株レベルで迅速・高精度に識別する。

あらかじめ取得しておいた細菌遺伝子の塩基配列情報と,AXIMA微生物同定システムにて検出される細菌たんぱく質の分子量情報に基づき,細菌の識別を迅速・正確に行なう。すなわち,その都度遺伝子解析を行なうことなしに,遺伝子型の違いに基づく細菌の識別が迅速・正確に行なえるというメリットがある。

この研究開発では,名城大学と産業技術総合研究所が開発した「S10-GERMS法」(MALDI-TOFMSにより得られるリボソームたんぱく質の分子量情報と遺伝子情報をリンクさせた微生物の分類・同定方法)に基づき,名城大学と島津製作所がソフトウェアの開発を行なった。

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