東北大、ガラス物質の局所構造の直接観察に成功

東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)教授の陳明偉氏と准教授の平田秋彦氏らのグループは、ガラス物質の局所構造を直接観察することに世界で初めて成功し、その形が非常に歪んだ20面体となっていることを明らかにした。

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ガラス物質の局所的な構造はエネルギーが低く安定な20面体である、という理論が提唱されて以来、多くの研究者によってガラス物質での20面体の重要性が示されてきた。しかし、正20面体だけをつなげると隙間ができてしまい密な構造をとることができない、という矛盾があった。これまでは、ガラス物質の局所構造を直接観察することができず、この矛盾は解決されないままだった。

研究グループは、金属ガラスの試料に非常に細い電子線(10-9~10-10m)を当ててできた回折図形を解析することで、局所構造を直接観察することに成功した。その形は、非常に歪んだ20面体となっており、歪み具合を分析したところ、エネルギー的に安定な正20面体と、構造が密になりやすい面心立方構造の中間の構造となっていることが分かった。

さらに、AIMR教授の小谷元子氏、助教(東北大学大学院理学研究科)の松江要氏との連携による、数学研究で用いられるホモロジー解析の結果から、物質全体で、20面体の歪み方が非常に良く似ていることを明らかにした。この結果は、20面体であるために比較的安定な状態を保ちながら、面心立方構造に近い構造でもあるため、物質全体で密な構造もとれることを示すもの。

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