京大、盲腸に味覚? コモンマーモセットの盲腸における味覚情報伝達分子群の発現

京都大学霊長類研究所准教授の今井啓雄氏、同共同利用研究員(岐阜大学大学院生として2013年3月まで)の権田彩氏、岐阜大学准教授の松村秀一氏、自然科学研究機構特任准教授の郷康広氏、岐阜大学准教授の斉籐正一郎氏らの研究グループは、コモンマーモセット(サルの一種)で特異的に味覚情報伝達分子群が盲腸や大腸などで、舌と同量もしくはそれ以上に発現していることを発見した。

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コモンマーモセットで観察された盲腸・大腸における味覚情報伝達分子群の特異的な大量の発現は、他の霊長類(ニホンザル、ヒヒ、リスザル等)では観察されなかったことから、霊長類の中でもマーモセット科に特殊な現象である可能性が高いと考えられる。マーモセットは樹脂や樹液を摂取し、盲腸で発酵することが知られているため、盲腸における味覚情報伝達タンパク質群の発現は、この食性に関係しているかもしれない。

一方、ヒトでも胃・小腸・大腸等に味覚情報伝達分子群が発現し、直接的なホルモン分泌や神経回路を通して食欲や血糖値等を制御していることが知られている。マーモセットは近年、遺伝子導入などができるモデル霊長類として注目されているため、このような腸管での「味覚」の役割の解明に貢献できることが期待される。

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