名大など、若年性骨髄単球性白血病の新規原因遺伝子を発見

名古屋大学大学院医学系研究科小児科学教授の小島勢二氏、京都大学大学院医学研究科腫瘍生物学教授の小川誠司氏、東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センター教授の宮野悟氏の共同研究チームは、小児にみられる白血病の一種である若年性骨髄単球性白血病の新規原因遺伝子を発見した。

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若年性骨髄単球性白血病は乳幼児期にみられる予後不良な白血病で、たとえ、骨髄移植をうけても、半数の患者は再発してしまう。本症の発症メカニズムの解明と効果的な薬剤の開発が待ち望まれていた。

共同研究チームは、次世代遺伝子解析装置を用い、92 例に対して網羅的遺伝子解析を行ない、本症にみられる遺伝子異常の全体像を解明した。その結果、新たな原因遺伝子としてSETBP1およびJAK3遺伝子を新たに発見した。そして、これまでに若年性骨髄単球性白血病で変異があることが知られていた、がんの発症に関与するRAS経路の遺伝子異変と、今回発見した2つの遺伝子の変異割合を比較した。

その結果、SETBP1とJAK3遺伝子変異は、若年性骨髄単球性白血病の発症に関わる主要な遺伝子とは別の遺伝子要因、いわゆるセカンドヒットとして腫瘍の進展に関与していることが示唆され、実際にこれらの遺伝子変異をもつ患者は治る確率が低いことがわかった。

今回の研究成果は、本症の診断法の確立と治療法の選択に役に立つほか、新規薬剤の開発につながることが期待できる。

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