慶大、分子標的治療薬セキシマブの大腸癌に対する新しい効果予測法を開発

慶應義塾大学医学部外科学(一般・消化器外科)教室教授の北川雄光氏らの研究グループは、切除が不可能な進行・再発大腸癌治療に頻用される分子標的治療薬(がん細胞が増殖するために必要なタンパク質を標的とした抗がん剤)の一つであるセツキシマブの治療効果の予測に関連する新たな手法を開発した。

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セツキシマブは、大腸癌細胞の表面に位置する上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor、以下、EGFR)に結合し、EGFRからの細胞増殖・転移に関与するシグナル伝達を阻害して、がん細胞の機能を抑制する分子標的治療薬。

本研究グループは、分子標的治療薬であるセツキシマブ自体を一次抗体として用いてEGFRを検出する方法を新しく開発し、この新しい手法により測定した、大腸癌の細胞膜の表面のEGFR発現量と腫瘍の増殖を抑制する効果の相関を示すことに成功した。

本研究の結果をふまえて、臨床検体を用いた検証を重ねることで、セツキシマブ治療群の中でもより感受性の高い症例の抽出が可能となる。また、薬剤選択に新しい指針を与えることで、進行・再発大腸癌の患者一人ひとりに最適な治療法の実現が期待される。

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