東大など、うつ症状を呈する精神疾患の鑑別診断を補助する検査の有用性を確認

群馬大学大学院医学系研究科神経精神医学教授の福田正人氏、東京大学大学院医学系研究科精神医学分野助教の滝沢龍氏、教授の笠井清登氏らのグループは、うつ症状を伴う精神疾患(大うつ病性障害、双極性障害、統合失調症)の鑑別を診断する指標として、光トポグラフィーにより得られる脳機能指標の有用性を検討した。

群馬大学・東京大学・国立精神神経医療研究センター(NCNP)など日本全国の7施設が参加する多施設共同研究として行なわれ、うつ症状のある患者さん673名と健常者1,007名が課題を実施している間の脳機能を、光トポグラフィを用いて測定した。

その結果、脳機能指標を用いた鑑別診断では、大うつ病性障害と臨床診断された患者のうち74.6%、双極性障害もしくは統合失調症と臨床診断された患者のうち85.5%を正確に鑑別できた。さらに、同じ脳機能指標を用いて全く独立に光トポグラフィを用いた測定を行なったところ、残りの6施設においても同等の結果が得られた。

この研究は、光トポグラフィ由来の脳機能指標により、うつ症状を伴う精神疾患の鑑別診断を高い判別率で行なえることを示した初めての大規模研究。加えて、本研究での鑑別診断は、精神医療分野で唯一の先進医療として、厚生労働省に承認されている「光トポグラフィ検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助」と同様の方法で行なわれており、大規模かつ多施設研究によって、精神疾患の鑑別診断補助における光トポグラフィ検査の一定の有用性を再検証したもの。

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