凸版印刷ら,大腸がんの最適抗がん剤選択用 KRAS遺伝子変異解析システムを開発

凸版印刷と理研ジェネシスは,生殖細胞以外の体細胞に起こる突然変異で,がん化の原因ともなるKRAS遺伝子の体細胞変異を迅速,簡便に検出できる遺伝子解析システムを新たに開発した。理研ジェネシスは,このKRAS遺伝子変異解析システムを国内の研究用途向けに2013年度中に販売を開始するほか,欧州でも販売する予定。

大腸がんに使用する抗がん剤の中には,がん細胞の表面に有るEGF(上皮細胞増殖因子)の受容体に結合することで,がんの増殖を抑えるものがある。ところが,KRASと呼ばれる遺伝子に変異があるとこれらの抗がん剤の効果がとても薄くなることが判明し,KRAS遺伝子変異の認められる患者には,これらの抗がん剤の投与は推奨されない。そのため,これらの抗がん剤の投与に先立ってKRAS遺伝子の変異を確認することが重要になってくる。

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開発した遺伝子解析システムは,使用する試料に精製されたゲノムDNAを用いる。このゲノムDNAを付属の前処理カセットに入れ,解析チップおよびピペットチップとともに装置にセットし,検査をスタートすると,60分以内でKRAS遺伝子内のコドン12,および13の位置にある7種類の遺伝子変異を検出することができる。

最も代表的なKRAS遺伝子変異検査法であるダイレクトシーケンスでは,検査対象の細胞の約30%以上が変異を持っていないと検出できないが,今回のシステムでは,10%のがん細胞が含まれていれば,KRAS遺伝子変異を検出することが可能。

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