理研、炎症や自己免疫疾患に関わる遺伝子の機能を解明

理化学研究所は、炎症や自己免疫疾患に関連する遺伝子「Bach2」が、アレルギーなどを引き起こす炎症性T細胞の分化を制御する重要な遺伝子であることを明らかにした。

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共同研究グループは、Bach2遺伝子を欠損したマウスを使った実験によって、Bach2遺伝子の発現と機能解析を行なった。解析の結果、Bach2遺伝子は、抗原にさらされたことのないT細胞(ナイーブT細胞)で最も発現が高く、ひとたび抗原によって活性化された後のメモリーT細胞では発現が低いことが分かった。

メモリーT細胞は、ナイーブT細胞に比べて強い免疫反応を示すことが分かっているが、Bach2遺伝子を欠損したマウスのナイーブT細胞は、抗原反応に対して非常に活性化されやすくなり、特にアレルギーを引き起こす炎症性T細胞であるTh2細胞への分化が強く促進されることを発見した。また、Bach2遺伝子を欠損したことで発現が変化した遺伝子の中には、炎症や自己免疫疾患と関連しているものが多数含まれていたことも分かった。

これらの結果は、Bach2遺伝子が免疫反応の強さや活性化されやすさを制御し、T細胞をナイーブな活性化されていない状態に保つ役割を果たしていることを意味する。さらに炎症や自己免疫疾患への感受性を決定する重要な因子であることが考えられる。今後、本研究を進展させることで免疫による炎症や自己免疫疾患の予防・診断・治療法の開発などの手がかりとなることが期待できる。

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