慶大,マウスも絵画を見分けられることを発見

慶應義塾大学名誉教授の渡辺茂氏は,これまでにハトやブンチョウが絵画を見分けられることを報告してきたが,このたび,マウスも絵画を見分けることが可能であることを実験により突き止めた。

はじめにマウスがカンディンスキーとモンドリアンのどちらの絵の近くに長く滞在するかを調べたが,ほとんどのマウスは滞在時間の差(好み)を示さなかった。ピカソとルノアールでも同様であった。しかし,一方の絵を見ているときにはモルヒネを注射し,他方の絵の時には生理食塩水を注射すると,マウスは明らかにモルヒネを注射される絵の近くに長く滞在するようになった。

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さらにタッチスクリーンを使って,一方の絵にタッチするとミルクが貰えるように訓練すると絵の区別ができるようになった。しかも,ただ絵柄を区別するだけではなく,例えばこれまでに見ていない同じ画家の作品でもその前に長くいるようになった。これはマウスが画家による作風の違いを見分けられる証拠で,あるスタイルの絵画をひとつのグループとして区別する「般化」という現象。

これまでマウスの視覚認知能力は高くないとされてきたが,この研究はマウスもある程度高次な視覚認知ができることを示したもの。