パナソニック,CMOSを用いたニューラルネットワーク回路を開発

パナソニックは,連続的に変化するアナログデータを安定的に抵抗値として記憶する強誘電体メモリスタを,広くデジタル回路として用いられているCMOS回路上に世界で初めて形成することに成功した。この結果,同じ回路上でデジタル信号をアナログデータとして扱うことを可能にした。この成果を用いて,電子回路上で「人の思考」の一部を再現するニューラルネットワーク処理に応用した場合,消費電力を最大1/10に削減でき,より大規模なニューラルネットワーク回路への展開が期待される。

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この技術は,CMOS回路上に,シード層を介して強誘電体メモリスタを形成する結晶成長制御技術によって作製された。また,入力されたデジタル信号をアナログ制御により演算した上で,結果を出力するハイブリッド回路設計技術を用いている。

これにより,デジタル回路上に結晶性の良い強誘電体メモリスタを形成することで,アナログデータとして効率的に演算処理できるアナログ制御を実現 (パターン認識処理に応用した場合,従来の1/10の消費電力で処理が可能)した。また,強誘電体メモリスタは,入力電源が無くても,記憶したアナログデータが安定に保持される。さらに使用時以外は電源入力の必要がないため,より一層の省電力化に対応する。