東北大,緑内障の神経保護治療への新しいアプローチを開拓

東北大学大学院医学系研究科教授の中澤徹氏,講師の丸山和一氏,助教の檜森紀子氏らは,酸化ストレス防御機構において中心的な役割を担う転写因子であるNrf2(NF-E2 related factor2)の網膜神経節細胞死に対する関与,Nrf2活性剤の神経保護作用を明らかにした。今後,Nrf2は緑内障における新規治療ターゲット分子となる可能性が期待できる。

緑内障は40歳以上の約5%が罹患し,日本人における失明原因の第一位の疾患。その治療は眼圧を下降させることを基本とするが,30%の眼圧下降を得ても緑内障の進行が止まらない患者は約20%存在し,日本人は外国と病型が異なる正常眼圧緑内障であるため,30%の眼圧下降を得ることが難しい患者もいることから,別の治療法が求められている。

緑内障は眼圧以外の因子の中で,網膜神経節細胞死に酸化ストレスが関与すると考えられており,近年,酸化ストレスセンサーとしてKeap1-Nrf2システムが重要であることが報告された。そこで,研究グループでは,Nrf2ノックアウトマウス(Nrf2KO)の緑内障動物モデルを作成し,酸化ストレス防御機構において中心的な役割を担う転写因子であるNrf2(NF-E2 related factor2)の網膜神経節細胞死に対する関与を解析した。

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その結果,Nrf2は神経節細胞障害時に抗酸化・解毒酵素の発現増加を誘導し,自己防御における神経保護作用に貢献することが明らかになった。また,Nrf2活性剤の神経保護作用も明らかにされ,今後 Nrf2は緑内障における新規治療ターゲット分子となる可能性が期待される。

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