京大、沈み込むプレートが海水を火山の下まで運ぶ仮説を発表

京都大学、理学研究科附属地球熱学研究施設助教の川本竜彦氏、同教務補佐員の芳川雅子氏、理学研究科大学院生(現在、北村国際特許事務所弁理士)の熊谷仁孝氏、鹿児島大学理工学研究科教授の小林哲夫氏、福岡大学理学部地球圏科学科教授の奥野充氏、フィリピン地震火山研究所研究員(現在、ニュージーランド・クライストチャーチ市議会職員)のハナ・ミラブエノ氏らの研究グループは、沈み込むプレートから海水がマントルに加わる現象を発見し、新しい仮説を提案した。

これまでプレートからは、浅い所では水が、深い所では水にマグマ成分を溶かしこんだ超臨界流体が出てマントルに加わると考えられていたが、今回の発見は、それらには海水と同じ程度か、もう少し多い濃度の塩が含まれていることがわかった。

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研究グループは、マントルを作る岩石の破片に塩が含まれていることを発見。プレートは沈み込む前に、海溝の近くのアウターライズという場所で割れ目に沿って海水がプレートと反応し、塩水を持ったまま沈み込み、深く沈み込むにしたがい、高温高圧条件になり、その海水をマントルに出すと提案。

近畿地方には、兵庫県の有馬温泉や宝塚温泉、和歌山県の白浜温泉などに、炭酸ガスを含んで塩辛い高温の温泉があることが知られていたが、温泉水の特徴は今回発見した海洋プレートからの塩水の特徴と一致し、海洋プレートからマントルを通って上がってきた流体と考えられる。

このように、海洋プレートからの流体が塩水だとすると、塩水は純水と異なり、金属イオンをよく溶かすなど、マントルへの金属元素の移動に影響を与える。日本列島のような沈み込み帯では、地震、温泉、火山などの地学現象があるが、それらは海洋プレートから出る水によって引き起こされている。海洋プレートが水を大陸プレートの下に運ぶためには、まず海洋プレートが水を含んでいないといけないが、その水は海水。つまり海があることで、地震や温泉や火山があることになる。

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