NTT,従来の1/10の消費電力でデータ伝送が可能なレーザを開発

NTTは10Gb/sの信号を,世界で最も小さな消費エネルギーで伝送可能な超小型半導体レーザ(活性層をフォトニック結晶構造の共振器の中に埋め込んだレーザ:LEAPレーザ)の開発に成功した。

同社はこれまで,マイクロプロセッサの消費電力の低減するために,データ通信に光配線技術を適用する研究を続けてきた。これまでにLEAPレーザを開発し,世界初の電流注入による室温環境(25℃~30℃)での連続的な動作(しきい値電流:390µA)に成功したが,実際に光技術をマイクロプロセッサ間のデータ転送等に適用するには,しきい値電流の削減と超低消費エネルギー動作の実現,及びIT機器内部の温度環境下(80℃)での動作が重要な課題となっていた。

同社はしきい値電流の削減と超低消費エネルギー動作の実現のためにはレーザの漏れ電流の削減が重要であることを明らかにし,レーザと基板の間に電流ブロック層とフォトニック結晶の内部に電流ブロック用の溝を形成したLEAPレーザを作製した。これにより,半導体レーザとしては,世界で最も小さな4.8µAのしきい値電流を実現,レーザ活性層にアルミニウムを含む活性層を用いることで最高95℃までレーザ発振することも確認した。
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さらに,10Gb/sの信号でレーザを変調した場合に,これまで面発光レーザで得られていた消費エネルギーの1/10以下の5.5フェムトジュールで1ビットのデータ伝送が可能なことを確認した。これは,世界で初めてコンピュータコム(コンピュータ内部の情報通信)に適用可能な半導体レーザが実現できたことを意味する。

同社は今後,レーザ出力の増加や高い信頼性の確保などのマイクロプロセッサ間のデータ転送の実用化に向けた研究開発に取り組み,2016年を目途に商用化を目指す。

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