阪大、IL-6の異常産生に関わる分子を発見

大阪大学免疫学フロンティア研究センター(WPI-IFReC)研究員(日本学術振興会)の増田和哉氏、教授の岸本忠三氏らの研究グループは、数々の自己免疫疾患の発症機構解明につながる分子を発見した。

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関節リウマチをはじめとして多くの自己免疫疾患では患者の血液中に炎症性サイトカインIL-6の顕著な増加(異常産生)が認められる。IL-6受容体に対する抗体(トシリズマブ、商品名アクテムラ)は現在、治療に使われており、IL-6の信号をブロックすることによりこれら関節リウマチ、若年性特発性関節炎、キャッスルマン病、強皮症、リウマチ様筋痛症、大動脈炎(高安病)など多くの疾患の治療に画期的な効果が発揮されることが報告されている。

ここで重要な問題が2つある。1つは何故IL-6の異常産生がこれらの病気をひきおこすのか?という問いかけであり、他の1つは何故IL-6の異常産生が起こるのか?という問題である。

第1の問いかけは、岸本教授はじめ多くの研究者により、IL-6がヘルパーTリンパ球の1つで病気を引き起こすことに直接関わるTh17を作り出すことに必須の分子であるということに始まる一連の研究でその大要が明らかとなった。

今回の岸本教授らの論文は、第2の問いかけ「何故IL-6の異常産生が起こるのか」に解答を与えるもの。

IL-6 mRNAに結合することを防ぐ化合物の開発はIL-6異常産生に起因する炎症性自己免疫疾患の新たなる治療薬の開発につながると期待される。

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