東大と北大、生体内のpH変化をモニターする技術を開発

東京大学大学院理学系研究科特任研究員の服部 満氏と教授の小澤岳昌氏らは、北海道大学大学院保健科学研究院教授の尾崎倫孝氏らとの共同研究により、動物体内のpH環境変化を、人工的に作り出したホタルの光の明滅の変化として捉え、長時間モニターする方法を開発した。

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正常な細胞は、各種酵素が適切に働くことで、細胞内のpHがおよそ7.2~7.4に保たれているが、細胞がガン化や低酸素状態になると、細胞内のpHが低下する(酸性化)ことが知られている。このような細胞内のpH環境をモニターする研究は、培養細胞を用いて盛んに進められてきたが、マウスのような生きた動物個体内のpH環境を長時間安定して観測することは容易ではなかった。

ホタルの光の強度や色の違いを用いたさまざまな分析法はこれまでも開発されてきた。今回本研究開発チームは、ホタルのもう1つの特徴である光の明滅現象に着目。特殊なホタルの光源であるルシフェラーゼという酵素を改変して、人工的に明滅できるシステムを開発した。そして、この明滅の速度がpHに感受性があることから、安定して動物個体内のpH環境を観測する方法を確立した。

生きた体内でのpH環境をモニターすることができる本システムは、pH変化を通して生体内の異常を簡便に検査する技術に繋がると期待される。

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