東大、「動く手のひらや物体に映像と触覚刺激を提示できるシステム」を開発

東京大学大学院情報理工学系研究科石川奥研究室は、同大学大学院新領域創成科学研究科篠田研究室と共同で、動く手のひらや紙などの動物体を高速ビジョンでトラッキングし、その対象に対して遅延なく映像や触覚刺激を無拘束で投影するシステム=高速で無拘束な未来型情報環境を実現した。

このシステムは、石川奥研究室で開発された3次元空間内の対象を高速ビジョンと2枚のミラーによって遅延なくトラッキングする2台の「1ms Auto Pan/Tiltシステム」を用いて、動く対象に映像(ゲームやコンピュータの画面、動画等)をプロジェクションすると同時に、対象の3次元位置を2ms(ミリ秒)ごとに抽出することが可能なシステムと、篠田研究室で開発された超音波発振機アレイを用いた「非接触触覚ディスプレイ」により、対象の3次元位置に合わせて、特に手のひらの特定の位置に触覚刺激を呈示するシステムの2つを統合した新しいシステム。

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今回、身のまわりにある紙や手のひらがコンピュータやスマホのディスプレイに変身し、しかも触覚刺激まで感じられるものを実現した。いわばプロジェクションマッピング技術の動物体版かつ触覚提示版とみなすことができるもの。

開発したシステムは、高速画像処理の技術を用いることで、人間の認識能力をはるかに超えるスピードで環境に存在する手や対象物を認識し、遅延等の違和感なく情報の表示と入力に利用することを可能にするもので、たとえ動く物体であってもその物体をヒューマンインターフェイスの道具に用いることができることを示したもの。従来のコンピュータやスマホがものの中に知的機能を埋め込もうとしていたのに対して、既存の環境や物体そのものに情報を埋め込むものであり、今後の我々の情報環境を劇的に変える可能性を示唆するもの。

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