理研と慶大、思春期特発性側彎症(AIS)発症に関連する遺伝子「GPR126」を発見

理化学研究所統合生命医科学研究センター骨関節疾患研究チームチームリーダーの池川志郎氏と研究員の稲葉(黄)郁代氏とと慶應義塾大学医学部整形外科脊椎外科研究グループ准教授の松本守雄氏らは、思春期特発性側彎症(AIS:Adolescent Idiopathic Scoliosis)の発症に関連する新たな遺伝子「GPR126」を発見した。

130414riken1

側彎症(そくわんしょう)は背骨が横に曲がる疾患で、多くは原因が特定できない特発性側彎症というタイプ。特発性側彎症の中で最も発症の頻度が高いのが、思春期に起きるAISで、日本人の約2%にみられる。AISの発症には遺伝的要因が関与すると考えられ、世界中で原因遺伝子の探索が行なわれてきたが、理研と慶大のグループはゲノムワイド相関解析を行ない、AISの発症し易さ(疾患感受性)を決定する遺伝子「LBX1」を2011年に世界に先駆けて発見。今回、共同研究グループは患者数を増やして段階的な相関解析を行ない、新たなAIS感受性遺伝子GPR126の同定に成功した。

本研究では、世界で初めて、複数の人種でAISに関連する遺伝子を発見。共同研究グループでは現在、AISのオーダーメイド医療に向けてゲノム情報を基にしたAISの診断、予測モデルの作成に着手している。また、GPR126 の機能とAIS発症の経路をさらに詳しく調べることで、分子レベルでAISの病態の理解が進み、新しいタイプの治療薬の開発が期待できる。

詳しくはこちら