京大、腸内細菌による宿主のエネルギー恒常性維持機構を解明

京都大学薬学研究科助教の木村郁夫氏、大学院生の井上大輔氏、奈良県立医科大学准教授の小澤健太郎氏らの研究グループは、金沢大学教授の井上啓氏、滋賀医科大学准教授の今村武史氏らとの共同研究により、腸内細菌が産生する栄養(酢酸等の短鎖脂肪酸)を認識する脂肪酸受容体GPR43が脂肪の蓄積を抑制し、肥満を防ぐ機能を有することを明らかにした。

特に腸内細菌の宿主に対する重要な機能として、

  1. 食事時、食物より直接得られるブドウ糖や脂肪酸などのエネルギー源と同時に、腸内細菌によって短鎖脂肪酸がエネルギー源として産生される。
  2. 通常はこの短鎖脂肪酸はエネルギー源としてだけ使用されるが、過度な食事により過剰エネルギーが得られた時に、同様に短鎖脂肪酸も過剰に上昇する。
  3. この過剰に上昇した短鎖脂肪酸を認識するセンサー受容体GPR43が活性化し、脂肪組織への過剰エネルギー蓄積を抑制し、エネルギー消費の方向へ誘導し、結果として過度な肥満から起こる代謝機能異常を防ぎ、また体全体のエネルギー消費を高め、体内のエネルギー恒常性の維持に働く。

ということを研究グループは明らかにした。

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これは腸内細菌や、短鎖脂肪酸の一種である酢酸が食事性の肥満防止に有効である可能性、さらにはこの短鎖脂肪酸受容体GPR43を標的とした肥満、糖尿病等の生活習慣病予防・治療薬への応用が期待される成果。

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