東大、DNA研究により東京のヒキガエル、西日本型へ遺伝子浸透が進んでいることを実証

東京大学大学院総合文化研究科博士課程の長谷和子氏、放送大学教養学部教養学科自然と環境コース教授の二河成男氏、東京大学大学院総合文化研究科/情報学環教授の嶋田正和氏は、東京に分布する日本産ヒキガエルが、遺伝子型・形態ともに、アズマヒキガエル(東日本亜種)から人為的移入されたニホンヒキガエル(西日本亜種)へ遺伝子浸透が進んでいることを、ミトコンドリアDNAと核DNAマイクロサテライト領域による分子生態学的解析に基づき実証した。

また、幼生(オタマジャクシ)の飼育実験から、東京のヒキガエルの幼生は、埼玉県新座市や栃木県日光市のアズマヒキガエルの幼生に比べ、高い生存率を示すことも確かめられた。この結果により、現在の東京のヒキガエル集団は、移入された西日本亜種系統に助けられ、維持されている可能性が大きいことがわかった。

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この研究は、都市部に分布するカエル類の遺伝的多様性・適応度が、移入亜種により高く維持されていることが報告された世界で初めての事例。最新の科学的手法により明らかにされた身近な生き物についての新知見は、遺伝子の地域性、生物多様性の保全といった課題においても、将来的に重要な基礎的なデータを提供すると考えられる。

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