理研、睡眠状態を全自動で判定できる「FASTER法」を開発

理化学研究所は、脳波と筋電図を用いて睡眠覚醒状態を全自動で判定できる「FASTER(ファスター)法」を開発し、マウスを用いてその性能を実証した。これは、理研発生・再生科学総合研究センターシステムバイオロジー研究プロジェクトプロジェクトリーダーの上田泰己氏、研究生の砂川玄志郎氏(現:生命システム研究センター合成生物学グループ リサーチアソシエイト)と徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部情報統合医学講座教授の勢井宏義氏、大阪バイオサイエンス研究所分子行動生物学部門部長の裏出良博氏、日本大学薬学部健康衛生学研究室教授の榛葉繁紀氏らの共同研究グループによる成果。

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睡眠状態は、ノンレム睡眠、レム睡眠、覚醒の3つがありますが、これらは、脳波と筋電図の特徴的な波形によって定義されている。現在の睡眠状態の判定には人間の目視による確認が不可欠だが、人間を介することでノイズなどの不確定なデータに対して適切に対応できる一方、判定者の主観が入ったり、一定の割合で誤判定があったり、判定に時間がかかったりなどの欠点も存在する。このため、動物を用いた睡眠研究の大規模化は困難だった。また、コンピューターを用いた半自動の睡眠判定法は存在するが、鍵となる判定基準を人の判断に頼るなどいくつか問題があり、全自動化には至っていなかった。

共同研究グループは、睡眠判定を自動化するための問題点を1つ1つ解決し、脳波と筋電図を用いて全自動化したFASTER法の開発に成功。実際にマウスを用いて性能を評価したところ、睡眠状態を90%以上の正解率で判定でき、かつ従来は判定に1~2時間を要していたものを10分程度に短縮できた。今回はマウスの睡眠判定を全自動化していますが、人間の睡眠判定も同様の問題を抱えているため、今後は人間の睡眠状態の自動判定への応用が期待できる。

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