微生物化学研、高性能で再利用可能な「ナノチューブ」触媒を開発

科学技術振興機構(JST)課題達成型基礎研究の一環として、微生物化学研究所の柴崎正勝氏らは、カーボンナノチューブを利用した再利用可能な高機能性不斉触媒を開発した。

研究グループは、自然に秩序ある構造に組み上がる「自己組織化」という特性を持った不斉触媒を利用し、カーボンナノチューブの網目構造中で自己組織化を行うことで、不斉触媒の再利用性と高機能性を同時に実現した。

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つまり、ナノチューブがある溶液に触媒原料を混ぜるだけで、触媒が狭い網目構造中で組織化することで封じ込められ、ろ過分離による簡便な触媒再利用を可能とした。また、網目中での組織化により触媒が微粒子化して分散されており、触媒機能の向上も実現した。

今回用いた触媒の原型は、研究グループが2011年に達成した抗インフルエンザ薬リレンザの純化学合成に利用したもので、多くの医薬品の迅速合成に応用できるもの。再利用性と高機能性により実用性が大幅に向上した今回の触媒を用いて、すでに高脂血症治療候補薬アナセトラピブの合成に成功しており、今後ますます多くの医薬品合成への応用が期待される。

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