理研、1つの受容体がさまざまな刺激に応答できる仕組みの一端を解明

理化学研究所は、生体膜に存在する受容体の1つ「TRPチャネル」が、たった1種類でさまざまな刺激に柔軟に応答できる仕組みの一端を解明した。これは、理研放射光科学総合研究センター分子シグナリング研究チームチームリーダーの山下敦子氏(現 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授)、研究員の伊原誠氏(現 近畿大学農学部講師)と、東北大学大学院工学研究科教授の魚住信之氏、助教の浜本晋氏、名古屋大学構造生物学センター教授の甲斐荘正恒氏、特任助教の宮ノ入洋平氏、特任助教の武田光広氏、東京電機大学研究員の矢部勇氏らの共同研究グループによる成果。

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共同研究グループは、カビの1種からTRPチャネルの基本モデルともいえる受容体チャネル「TRPGz」を発見し、解析に利用した。理研が所有する大型放射光施設SPring-8を用いたX線結晶構造解析やNMR(核磁気共鳴)でこの受容体の機能制御領域を調べた結果、ある4本の基本構造が1つに束ねられて生体膜外の浸透圧変化に応答する一方、容易にばらばらになることで他の刺激に反応できることが明らかとなった。

今回の成果は、TRPチャネルが関わる多くの生命反応への理解を進めるとともに、鎮痛薬などの創薬の標的として研究が進んでいるTRPチャネルの分子機能の理解を深める重要な情報となる。

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