京大など、オキソ中間体の分子振動構造の解明に成功

京都大学高輝度光科学研究センター(JASRI)、スタンフォード大学(Stanford Univ., USA)、ミネソタ大学(Univ. of Minnesota, USA)、Advanced Photon Source(USA)、九州大学は共同で、大型放射光施設SPring-8の核共鳴散乱ビームライン(BL09XU)の高輝度X線を利用することにより、自然界において重要な酸化反応を促進する触媒である二核非ヘム鉄酵素の高原子価鉄-オキソ中間体の分子振動構造の解明に成功した。

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二核非ヘム鉄酵素において生成する高原子価鉄-オキソ中間体は極めて高い酸化反応性をもち、人工分子触媒では困難な化学反応を実現することが知られている。したがって、生化学的な重要性のみならず工業化学の観点からも、二核非ヘム鉄酵素の高原子価鉄-オキソ中間体の分子構造とその高酸化反応メカニズムの解明が望まれていた。

本研究では、核共鳴非弾性散乱分光法(NRVS)により、二核非ヘム鉄活性中心において生成した高原子価鉄-オキソ中間体の低振動モードが、二核非ヘム鉄中心の架橋構造および非ヘム鉄イオンのスピン状態に依存し、その鉄中心の酸化状態には強く影響されないことを明らかにした。

今回の高原子価鉄-オキソ中間体の分子振動構造の解明により、抗がん剤やバイオ燃料の開発に向けた基礎研究が飛躍的に進展するものと期待される。

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