原研、直流100万ボルト超高耐電圧の絶縁変圧器の開発に成功

日本原子力研究開発機構核融合研究開発部門NB加熱開発グループ研究主幹の渡邊和弘氏らは、日立製作所と協力して、小型碍子(がいし)ブッシングと絶縁ガスを封入した繊維強化プラスチック(FRP)絶縁管を組み合わせた2重複合型絶縁ブッシングを世界で初めて開発し、直流100万ボルトを超える超高電圧を絶縁できる変圧器の開発に成功した。
これにより、ITER(イーター:国際熱核融合実験炉)計画で日本が開発を担当している中性粒子入射装置(Neutral Beam injector:NB)電源の製作技術を確立した。

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原子力機構では、従来技術とは全く異なるアイデアに基づき、小型の碍子製コンデンサーブッシングと絶縁用ガスを封入したFRP絶縁管を組み合わせ、両者に絶縁を分担させる2重複合構造を考案。構造の決定に際しては、電界解析を実施して、可能な限り一様な電界分布となるように考慮した。その結果、従来手法と比べ大幅に碍子ブッシングを小型化でき安価に超高電圧の絶縁を実現した。これにより、従来の電圧と比較し2倍以上、時間では360倍となるITERの使用電圧を超える直流120万ボルトを1時間安定に絶縁することに成功し、ITER用NB電源のための直流100万ボルト絶縁変圧器の製作技術を確立した。

本研究で開発した直流100万ボルトの絶縁技術は、今後普及が期待される100万ボルト級直流送電技術への応用も期待される。

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