大府大と横市大,植物が高温に適応するための新しい仕組みを発見

大阪府立大学大学院生命環境科学研究科教授の小泉望氏、准教授三柴啓一郎氏らのグループは、横浜市立大学学術院国際総合科学群教授の嶋田幸久氏との共同研究によりモデル植物シロイヌナズナを用いて、多くの遺伝子のmRNAが環境ストレスにより分解されることを発見した。

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生物はDNAの情報に基づいてmRNAを介してタンパク質を合成します。DNAからmRNAが合成される過程は生命活動の制御に重要なステップだが、2006年のノーベル賞の対象となったRNA干渉に代表されるmRNA分解による制御の重要性が近年、注目を集めている。

同グループはモデル植物シロイヌナズナからIRE1を発見し、IRE1が細胞質スプライシングを介して小胞体ストレス応答を促す転写因子を活性化させることを報告してきたが、今回の研究で、IRE1が高温などの環境ストレスに速やかに応答し、小胞体で合成されるタンパク質のmRNA(全遺伝子の約3分の1に相当)の多くを分解することを発見しました。この働きはmRNAを分解することで、ストレスによるタンパク質合成の不具合を未然に防ぐ仕組みであると考えられる。

今回の発見は、動くことのできない植物が、高温などの環境変化に対応するための方策として、mRNAを積極的に分解していることを示したもの。植物の環境応答の分子メカニズムの解明が進むことで、環境ストレスに強い作物の品種改良のための理解が深まることが期待される。

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