阪大と理研、「高空間分解能」かつ「高感度」な革新的X線顕微法を開発

大阪大学大学院工学研究科准教授の高橋幸生氏、理化学研究所播磨研究所放射光科学総合研究センター主任研究員の石川哲也氏らの研究グループは、高い感度と高い空間分解能を有するX線顕微法の開発に成功した。

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X線が物体を通過するときの位相のずれ量を観測することで、吸収の小さな物体であっても可視化することが可能であり、これを位相コントラストイメージングと呼んでいるが、今回、研究グループは、大型放射光施設 SPring-8の理研物理科学 I ビームライン BL29XUL において、X線集光鏡と空間フィルターを組み合わせた照明光学系を搭載した「X線タイコグラフィー」と呼ばれる新しい位相コントラストイメージング法を開発。このX線タイコグラフィーにより、オングストロームオーダーのX線波長の約320分の1という小さな位相のずれを約10nmという高い空間分解能で可視化することに成功した。

この顕微法は、特にX線の吸収の小さい軽元素で構成される生体軟組織の観察に有用で、今後、SPring-8を用いた様々なバイオイメージングへの応用展開が期待される。また、X線自由電子レーザー施設SACLAを用いたコヒーレントX線回折イメージング実験においても同様の光学系が採用されており、SACLA の高光子密度のX線レーザーを照射することにより究極的な高感度・高空間分解能イメージングが実現するものと期待される。

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