東大、未発見の第4世代ニュートリノの存在を前提に観測データを再解析

現在の宇宙の膨張速度が徐々に加速しているという観測事実は、発見者に早くもノーベル賞が授与されるなど、世界に大きなインパクトを与えた。しかし、なぜ宇宙が加速膨張するのか従来のアインシュタインの一般相対性理論だけでは説明できず、加速膨張の原因究明が現代物理学の最大かつ喫緊の課題となっている。加速膨張を説明できる最も簡単な理論は、アインシュタインの一般相対性理論に基づき、新たに宇宙項という反発力を持ったエネルギー(ダークエネルギー)を導入した宇宙モデルだが、一般相対性理論自体が間違っていたとする「修正重力理論」による説明も提唱されている。

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東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程3年の本橋隼人氏らは、近年の素粒子実験によって示唆されている、水素原子の十億分の一程度の質量を持った未発見の第4世代ニュートリノの存在を前提に観測データを再解析。その結果、アインシュタイン理論に基づく宇宙モデルでは銀河や銀河団の分布の観測結果と矛盾してしまうこと、一方、修正重力理論は、宇宙の加速膨張と銀河分布などの観測データの双方をうまく説明できることを発見した。今後のニュートリノ実験でニュートリノ質量がこの値に確定すれば、アインシュタイン理論は大幅な修正を余儀なくされるとともに、宇宙の加速膨張の謎が解けることになる。

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