東大、カルシウムポンプのマグネシウムイオンとサルコリピンによる調節機構を解明

東京大学分子細胞生物学研究所教授の豊島 近氏のグループは、カルシウムポンプ蛋白質がカルシウムイオンを結合する直前の構造を、大型放射光施設SPring-8を用いたX線結晶解析によって決定した。

細胞中に大量に存在するマグネシウムイオンが、カルシウム結合に向けてポンプ蛋白質を準備する様子を解明。また、結晶構造中にカルシウムポンプの調節蛋白質として知られるサルコリピンが同定され、この状態を安定にしていることがわかった。

サルコリピンは筋肉由来の熱発生と脂肪の燃焼に重要であり、類縁蛋白質であるフォスフォランバンとともに心筋の収縮制御にも深く関わっていることが知られている。そのため、創薬の標的となる蛋白質である。

本研究では、また、これまで大変困難であり、創薬の大きな妨げとなっていた哺乳類の大型膜蛋白質 の大量生産・精製の新手法を開発し、結晶化に成功したことも特筆される。この手法を用いることによって創薬のために重要な哺乳類の大型膜蛋白質の研究が著しく促進されることが期待できる。

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